【助産師監修】乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?命を守る4つの予防策

更新日:2022.11.21

【助産師監修】乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?命を守る4つの予防策

更新日:2022.11.21
\この記事でわかること/
・1歳未満の赤ちゃんが突然命を落としてしまう“SIDS”とは
・SIDSの発症率を下げるためにできる4つの予防策

こんにちは!ハルウララの川瀬です。

11月は厚生労働省が定める乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)の対策強化月間』となっています。

みなさんは、“SIDS”を耳にしたことがありますでしょうか?

SIDSは、それまで元気に過ごしていた赤ちゃんが何の予兆もなく突然命を落としてしまう、とても悲しく怖い病気です。

正しい情報を知り、できる対策をすることで、幼くして命を落としてしまう赤ちゃん、そして悲しい思いをする家族を少しでも減らせるように、SIDSについて少しでも多くの方にお伝えできればと思います。

SIDS対策強化月間_厚生労働省(厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」より)
※近年では、SIDSの発症率を低くする4つ目のポイントとして「赤ちゃんの体をあたため過ぎないこと」も提唱されています。

皆さまに正しい情報をお伝えするため、助産師として30年以上のキャリアを持ち、年間約300件の赤ちゃん訪問を行っている『浅井貴子先生』に監修に入っていただきました。

監修者
助産師 浅井貴子先生

助産師
浅井 貴子
浜松医科大学医学部附属病院、聖隷浜松病院NICU(未熟児センター)に勤務したのち、現在はフリー助産師として活動している。自治体における赤ちゃん訪問指導は年間約300件。助産師として新生児期・乳児期の赤ちゃんとお母さんに携わり、30年以上のキャリアを持つ。
>>浅井貴子先生のプロフィールはこちら

01.乳幼児突然死症候群(SIDS)ってどんな病気?

乳幼児突然死症候群(SIDS)とはどんな病気?

01.SIDSとは

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、「それまで元気に育っていた赤ちゃんが、何の予兆や病歴もなく、寝ている間に呼吸や心臓が突然止まり静かに命を落としてしまう、原則として1歳未満の乳児の病気」です。

<SIDSの特徴>
・はっきりとした原因が分かっていない
・窒息死とは区別される
生後2か月~6か月に発症することが多い
・発症に関係があるとされるリスク因子が4つある
・リスク因子を避けることで発症率を下げることができる

02.窒息死とは違う病気

厚生労働省によるSIDSの定義は、

“それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群。”
(厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断の手引き」より)

とされていて、窒息死や虐待など原因が判明しているものとは区別されます。

03.表とグラフで見るSIDS

<年齢別の死因(令和3年)>

年齢別の死因
(厚生労働省「令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)

<乳児の死因内訳(令和3年)>

乳児の死因内訳円グラフ(令和3年)
(厚生労働省「令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)

・令和3年にSIDS(乳幼児突然死症候群)が原因で亡くなった乳児は68名で、死亡原因としては第3位となっています。
・SIDSは、1歳未満で発症することがほとんどですが、まれに1歳以上でも発症することがあります。
・乳児の死因として上位に上がっている呼吸障害や、SIDS(乳幼児突然死症候群)、不慮の事故については、対策をすることで発生率を下げることができる場合があります。

ここからは、SIDSの原因として考えられていること、そして予防策をご紹介していきます。
ぜひご参考にしていただき、赤ちゃんの命を守る一助になれればと思います。

02.SIDSの原因は未だに分かっていない?

SIDSの原因は未だに分かっていない?
科学や医療が発達した今の時代ですが、SIDSの原因については未だに解明されていません。
しかし、近年研究が進み原因として考えられることが挙げられるようになりました。

京都大学大学院医学研究科法医学講座によると、SIDSの原因として以下の説が提唱されています。

『生後2~4か月』は外界からの攻撃に弱い

『生後2~4か月』は外界からの攻撃に弱い
(京都大学大学院医学研究科法医学講座「乳幼児突然死症候群(SIDS)」参照)

生後2か月~4か月は、赤ちゃんにとって外界からの攻撃に弱い時期になります。

<生後2か月~4か月>
①母親の胎内という守られた環境で過ごしてきた体を、外の世界で生きていくために厳しい環境に対応できる体に変化させる期間
・外界からの攻撃にも耐えられるように、脳や心臓の働きを適応
・赤ちゃんの成長スピードがぐんと上がり、脳や心臓の働きが不安定になる

②母親から胎内でもらっていた抗体がなくなり、体調を崩しやすくなる期間

この赤ちゃんによって、外界からの攻撃に弱いタイミングで、呼吸を妨げる要因となるできごとが起こると、それが引き金となってSIDSを発症しやすくなると考えられています。

<呼吸を妨げる要因となるできごと>
・風邪などの感染症
・うつ伏せ寝
・体のあたため過ぎ など

上記に挙げたような、呼吸を妨げる要因となるできごとをなるべく避けることがSIDS発症の予防につながります。


SIDSのリスクを持っている子は4,000人に一人*

SIDSのリスクを持っている子は4,000人に一人(*厚生労働科学研究費補助金子ども家庭総合研究事業「平成17年度 乳幼児突然死症候群における科学的根拠に基づいた病態解明および臨床対応と予防法の開発に関する研究」より)

SIDSのリスクを持っていない子の場合は、うつ伏せ寝や寝返りをしたタイミングで鼻や口がふさがると、脳の覚醒機能が働き、息苦しさを感じて頭を動かし、呼吸ができない状況を回避します。

一方で、脳幹部の反応に異常のある子は、寝ている間に鼻や口がふさがれてしまった際に、脳の覚醒機能が働かずに息苦しさを感じることができず、呼吸ができないまま眠り続けて静かに亡くなってしまう、ということが起こります。

そのため、呼吸を妨げる要因となりうるできごとが起こらないようにすることが発症を予防するために必要になります。

03.SIDSの4つのリスク因子と予防策

SIDSの4つのリスク因子と予防策
SIDSを発症する明確な原因は分かっていませんが、4つのリスク因子は判明していて、それらのリスク因子を避けることで、SIDSの発症率が下がることが研究や調査によって分かっています。

4つのリスク因子を避けて、SIDSの発症を予防しましょう。

Point01.
1歳まではあおむけ寝

1歳まではなるべくあおむけ寝でSIDSのリスク因子を避けましょう
SIDSは、あおむけとうつ伏せのどちらでも発症していますが、うつ伏せ寝の時の方がSIDSの発症率が高いことが分かっています。

お医者様からうつ伏せ寝を勧められている場合以外は、あおむけ寝で赤ちゃんの顔が見えるように寝かせるようにしましょう。

<寝返りしたときは…?>
赤ちゃんが自分で、あおむけからのうつ伏せと、うつ伏せからあおむけのどちら側からでも寝返りができるようになっていれば、寝返りをしてうつ伏せになった際にあおむけに戻してあげる必要はありません。
<SIDSの予防として>
①眠り始める時はあおむけの姿勢で寝かせましょう
②寝返りをした時に呼吸を妨げる原因とならないように、柔らかい寝具などを置かないようにしましょう
※これらはSIDSだけでなく窒息事故の予防にもなります。

Point02.
できるだけ母乳で育ててリスクを下げる

できるだけ母乳で育ててSIDSのリスクを下げましょう
母乳には赤ちゃんに必要な栄養素免疫物質が含まれているので、赤ちゃんが健康に育つための最適な食事となるほか、赤ちゃんの口周りの筋肉の発達にも大切な役割を果たします。

そして、母乳で育てられている赤ちゃんの方が、ミルクで育てられている赤ちゃんよりもSIDSの発症率が低い*ことが分かっています。
母乳が出にくい方もいるので、無理のない範囲で気に留めてくださいね。
(*厚生省心身障害研究「平成9年度 乳幼児死亡の防止に関する研究」によると、人工栄養児は母乳栄養児の約4.8倍SIDSの発症率が高いという結果が出ています。)

Point03.
母親や保護者はたばこはやめる

SIDSのリスクを下げるためにも母親や保護者はたばこをやめることが推奨されます
たばこは、SIDSの発症を引き起こす大きなリスク因子とされています。
厚生省心身障害研究によると、両親が喫煙する場合は、両親が喫煙しない場合と比べて約4.7倍*もSIDSの発症率が高いという結果が出ています(*厚生省心身障害研究「平成9年度 乳幼児死亡の防止に関する研究」より)。

また、妊娠中に母親が喫煙すると、赤ちゃんの体重が増えにくくなるほか、呼吸中枢の発達にも悪い影響を及ぼします。

妊婦さんが喫煙しない場合でも、周囲に喫煙者がいる場合には受動喫煙のリスクがあるので周囲の協力も必要ですね。

Point04.
あたため過ぎには注意

あたため過ぎはSIDSの一つの要因と言われているので注意しましょう
赤ちゃんの体をあたため過ぎることも、SIDSの要因と言われています。
体温が高くなると、赤ちゃんの体はそれ以上体温を上げないようにと、筋肉を使わないようにします。
その結果、呼吸に使う筋肉も休み、必要な酸素が取り込めずにSIDSを引き起こしてしまうと考えられています。

<SIDSのリスクを高めるNG行為>
・洋服をたくさん重ね着をさせる
厚手の布団をかける

冬場は特に赤ちゃんの体が冷えないようにするために、重ね着や厚手の布団を使いたいところですが、これらはSIDSのリスクを高めることになってしまいます。

<冬場の体温調整方法>
・赤ちゃんの体温は大人よりも高いので、1枚少ないくらいを目安にお洋服を調整してあげるとよいでしょう。
・また、冬場でも家の中で厚着をし過ぎる必要がないように、部屋全体をあたため、大人も赤ちゃんも快適に過ごせるようにしましょう。

04.赤ちゃんの命を守るために気を付けたいこと6つ

赤ちゃんの命を守るために気を付けたい6つのこと
SIDSの予防のためにもSIDS以外の観点としても、赤ちゃんの命を守るために気を付けたいことを6つご紹介します。

Point01.
赤ちゃんをなるべく一人にしない

赤ちゃんをなるべく一人にしない
赤ちゃんを一人にしないことは、SIDS予防の観点でも、それ以外の事故を防ぐという観点でも大切です。
赤ちゃんがぐっすり眠っていても、赤ちゃんを一人にする時間はなるべく作らないようにして、赤ちゃんの様子を確認できるようにしましょう。

Point02.
固めのベビーベッドで柵は上げた状態をキープ

固めのベビーベッドで柵は上げた状態をキープすることで睡眠中の事故を予防しましょう
柔らかい寝具は、窒息を引き起こす要因となります。
大人用のベッドではなく、なるべく固めのベビーベッドに寝かせてあげるようにしましょう。
ベビーベッドの場合は、転落を防ぐために柵は常に上げておきましょう。

また、ソファーで添い寝している時のSIDSの発症率が高いことも分かっています。
SIDSのリスクを下げるためにも、ソファーでは寝ないことをおすすめします。

Point03.
枕などの寝具も固めのものを

枕などの寝具は固めのものを選び窒息のリスクを下げましょう
寝返りをした際に、柔らかい枕やクッション、ガーゼや布製のがらがらなどが赤ちゃんの周りに置いてあると、鼻や口をふさがれてしまう危険が高まります。

SIDSの予防としても、窒息の対策としても、枕などの寝具は固めのものを選び、柔らかいものはベッドに置かないようにしましょう。

Point04.
頭や体が挟まってしまう隙間をなくす

赤ちゃんが寝返りを打った際などに、頭や体が隙間に挟まってしまい赤ちゃんが自力で抜け出せない状況になってしまうと、その状態で呼吸ができなくなったり、怪我をしてしまったりする危険があります。

赤ちゃんが寝る場所には、隙間がないように整えましょう。

Point05.
よだれかけなど首に巻き付くものは置かない

よだれかけなど首に巻き付くものは窒息のリスクを下げるためにベッドに置かないようにしましょう
よだれかけやお洋服、ひも状のものなどは、寝ている間に首に巻き付いて窒息してしまう恐れがあります。

ベビーベッドの上は、なるべく物を置かないようにして、赤ちゃんが寝ている間に首に巻き付いたり、鼻や口をおおわれてしまったりするリスクを下げるようにしましょう。

Point06.
窒息のリスクがある掛け布団はNG

窒息のリスクがある掛け布団は1歳になるまでは注意しましょう
赤ちゃんが顔にかかった布を自分で払いのけることができるのは、生後6~7か月頃です。

1歳になるまでは、寝ている間に鼻や口に覆いかぶさる可能性がある掛け布団は、使用しない方がいいでしょう。

乳児期の赤ちゃんには、おくるみスリーパーなどのベビーアイテムを使用することで、顔に覆いかぶさるリスクを下げることができるのでおすすめです。

オーガニックコットンのプレミアムスリーパー(単品)>>プレミアムスリーパー ¥4,950(税込)

最後に

SIDSは原因の分からないまま赤ちゃんの命を奪ってしまうとても怖い病気ですが、発症リスクを下げるためにできる対策があることも分かっています。
大切な家族の命を守るために、できることを心がけながら赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。

※本記事は、医療従事者の監修を受けて掲載しております。
※本記事の情報は公開時点によるものであり、最新の情報やデータとは異なる場合があります。
※本記事は、子育て中の家族や保護者に情報を提供することを目的としております。診療行為とは異なるため、何かご心配なことがある場合には医療機関の受診をおすすめします。

参照サイト:
・厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
・厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断の手引き」
・厚生労働省「令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
・京都大学大学院医学研究科法医学講座「乳幼児突然死症候群(SIDS)」
・厚生労働科学研究費補助金子ども家庭総合研究事業「平成17年度 乳幼児突然死症候群における科学的根拠に基づいた病態解明および臨床対応と予防法の開発に関する研究」
・厚生省心身障害研究「平成9年度 厚生省心身障害研究 乳幼児死亡の防止に関する研究」

この記事を書いた人 川瀬 ひかる

この記事を書いた人
川瀬 ひかる
アパレルとは無縁のテニスばかりの生活を送ってきた私ですが、子どもたちが笑顔で過ごせる社会をつくりたいという想いで、今ハルウララで働いています。「出産祝い」という大切なお祝いをするお手伝いをしながら、笑顔で溢れる瞬間をたくさん作っていきたいです。

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