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未来づくりインタビュー vol.5【株式会社AsMama】

更新日:2019.12.27

未来づくりインタビュー vol.5【株式会社AsMama】

更新日:2019.12.27




甲田恵子(こうだけいこ)さん
株式会社AsMama 代表
2009年 株式会社AsMamaを創業し代表取締役社長に就任。
2016年(社)シェアリングエコノミー協会理事着任。
2017年 総務省地域情報化アドバイザー着任。
総務省主催「地域ICT活性化大賞2017 大賞・総務大臣賞」
日経新聞主催「日本サービス大賞優秀賞」他、ビジネスグランプリでの受賞歴多数。
書籍:『ワンコインの子育てシェアが社会を変える!! 』

AsMamaのサービス「子育てシェア」とは



子どもの送迎や託児を、顔見知り同士で頼りあえるオンラインの仕組みのこと。

下の子が病気になったので上の子を見て欲しい、急に残業が入ってしまったので保育園に迎えに行って欲しいなど、子育てをしていると頻繁に起こる「少しの間だけ子どもを預かってほしい」というニーズ。それをネットを介した共助の仕組みで解決する「子育てシェア」。
利用時のお礼は、1時間500円~700円というルールがあり、お子さまのお預かり中のケガなどには保険も適用されるので、預ける方も預かる方も安心して気兼ねなく利用できます。


”自分や子どものことをよく知っている人たち同士で、頼り合える仕組みをつくりたかった”


中村 :
本日はよろしくお願いいたします。それでは早速、子育てシェアを立ち上げたきっかけについてお伺いできますか?

甲田さん :
私が20〜30代のころは、野心的に自分のキャリアを築きたいという気持ちが強く、
「子どもが将来、留学したいと言ったときに、お金がないから駄目よとならないように、子どもが生まれたからこそ、夫婦共働きで頑張って仕事しなきゃ」と思っていました。

しかし、子どものこともとってもかわいいので、仕事の終了時間が来たらいったん帰宅し、子どもを寝かしつけた後にまた会社に戻り、終電か翌朝の始発で帰ってくるという、育児と仕事の両立の為に、綱渡りのような生活を、娘が3歳ぐらいまで続けていました。

ところが、リーマン・ショックの翌年、働いていた会社が9割の社員を解雇することになり、
「あ、こういうことって、自分の身にも突然起こる世の中なんだな」と。
上場企業で働いていれば、高いお給料が貰えることを一生約束されるわけでもないんだなと考えさせられる経験をしました。

甲田さんと娘さん

そんなとき、ふと気が付いたら、いつの間にか箸を持ち、自分の足で歩き、字が書けるようになっている娘がいて。ここまでの成長をもっと丁寧に見てあげたり、寂しいときにもっとそばにいてあげたり、誰にとっても幸せな生き方ができないのかなと、漠然と考え始めました。

中村 :
それで働き方や生活スタイルを考え直す機会ができたんですね。

甲田さん :
はい。すぐに転職しようとも考えましたが、また同じようなことが起こったらどうしようとも思い、もっと身近な人たちと、子育てなどの困り事を頼り合うことが出来ないか、そんなプラットフォームを作れないかなと思ったのが最初のきっかけです。

そこで、まずは同じように子育てしている他の母親たちはどう思っているんだろうかと気になり、調べてみたんです。

すると、6割程の人たちが第一子妊娠・出産を機に仕事を辞めていることを知りました。
出産を機に女性が離職をした家庭は、世帯収入がほぼ半分になってしまうので、今度は経済的な理由で二人目を産むことを控えるということから、これは少子高齢化の原因のひとつになっているのではないだろうか?
更には、子育て世帯の多くが、こうした経済的課題を抱えていることから、男性は長時間労働せざるを得なくなり、それが30、40代の死因第一位の自殺につながっているかもしれないとも考えるようになりました。

つまり、安心して子どもを預けられる環境がなくて、女性が嫌々仕事を辞めていくこの状況は、日本が抱える様々な社会課題の中心にある、根本的な課題ではないかと思ったんです。

子育てシェアのママサポーターの皆さん

そこで、地域で誰もが安心して子どもを預けられる仕組みがあったらいいのに、という思いをブログで発信してみたところ、もう本当に自分でも驚くぐらい反響があったんです。その反響から、このアイディアが「ものすごく必要とされてる」という確信に変わりました。

中村 :
なるほど。それで起業を決意されたんですね。

甲田さん :
いえ違うんです。この時もまだ自分でやろう!とは全然思ってなくて(笑)
最初は、前職の仲間や、行政の窓口の担当者に、地域の人たちが子育てを頼り合える仕組みづくりを、政策としてや、新規事業で実現してはどうかと、提案に行っていました。
すると、そんな文化づくりみたいなことを「株式会社でやるの? ボランティアでやるの?」という質問を山ほど受けることになり、
この質問への回答に時間を費やすくらいなら、自分でやった方がいいなと思い、それで会社を立ち上げることにしました。

中村 :
大抵の人はそこで諦めてしまうと思うのですが、そこで諦めなかったのは、それほど、必要性を感じていたということですね。

甲田さん :
そうですね。毎日届くブログへの熱いコメントや、たくさんヒアリングして聞いたママたちの声、そして、未来の子どもにも同じ経験をしてほしくないという想いから、覚悟を決めました。

”気兼ねなく利用できる、親同士が助け合う仕組み”


中村 :
AsMamaのサービスは、顔見知り同士で頼りあえる上、1時間500円というルールがあるのでみんなが気兼ねなく利用できると思うのですが、このユニークな制度はどのように生まれたのでしょうか?

甲田さん :
まず、絶対に顔見知りがいいと思ったのは、私の経験からです。
子育てに切羽詰まったときに、某SNSでベビーシッター探してますと書き込んで「保育士、女性」というプロフィールでベビーシッターを名乗る方と面談をしたことがあるんです。すると、本当に保育士の方だったらしいのですが、男性だったんです。

中村 :
えー!それは怖いですね。

甲田さん :
決して悪い方ではなかったと思うのですが。彼自身も「男性と書くとなかなか面談してもらえないので、女性と書きました」と説明されていました。
でも、やっぱり不信感が残りますよね。子どもを預けるとなると、しっかり信頼できる人がいい。

中村 :
そうですよね。何かあってからでは取り返しがつかないですもんね。
1時間500円というのは、どうやって生まれたのですか?
昔はお金のやり取りがなくても、近所のママさん同士の助け合いで成り立っていたようにも思うのですが。

甲田さん :
預ける方も、預かる方も、気兼ねせず利用できる状態を作りたかったんです。

例えば昭和の時代って、今のように男性並みに女性がフルタイムで働いてるという家庭が少なかったと思います。ご近所で「パートでどうしても今日だけ、ちょっと帰りが遅れちゃった」ということがときどき起こっても、母親の帰りをお子さんがご近所の家で待たせてもらう、という持ちつ持たれつの関係が自然に成り立っていたのだろうと思います。

ところが、今は専業主婦だったり、パート、フルタイム、というように、ママの働き方も家庭ごとに様々で、多様性が生まれています。すると、お願いするとなると、どうしてもフルタイムで働いているママが、近所の専業主婦のママにお願いするというように一方通行になってしまうことが多く、はじめのうちは、「ごめんね」と言いつつ、お礼にクッキーを渡したりするのですが、それが何回も繰り返されていくと、やっぱり恩をどう返そうか悩んでしまうという声が多くありました。

そこで、お礼の相場をヒアリングしてみると、2、3時間で2,000円くらいのお菓子を渡しているという声が多かったことから、1時間500円というお礼のルールを決めました。

中村 :
なるほど、確かに昔もお金はあげなくても、お菓子はあげていましたよね。
このように、気兼ねなく利用できる共助の仕組みがあるのは、子育て中の親御さんにとって、とても心強いですね。

甲田さん :
そうですね。親として安全に子どもを育てていくための一番最初のハードルは、「隣近所で何かあった時に子どもを見てくれるネットワークをつくっておく」ことなのかもしれないと考えています。
これは災害のときもそうで、何か起こったときに、自分の子どもを気にかけてくれる人がたくさんいるということは、子どもの命を救うことにもつながります。

子育てシェアは単に預け合うだけの仕組みではなくて、日々頼り合うことで、助け合えるネットワークにもなるんです。
どんどん預けたり、預かったりすることで、近所の方と交流を深め、いざというときに「人の気配」を感じられる命綱がそばにあるという安心感が得られるのも、子育てシェアの強みだと思います。

”地域で支えあう仕組みを世界へ”


中村 :
今、新しい取り組みも増えているようですが、今後の目標についてお伺いできますか?

甲田さん :
これからは、送迎や託児をお願いできるまでの“人間関係の構築”をサポートしていきたいと思っています。
そのために、「子育てシェア」に物の貸し借りや譲り合い、一緒にお出かけにお誘いする、といった新しい機能を追加しました。
創業当時は、商業施設の中で交流会を開催して、そこで出会った人たちが繋がり、頼り合いをするという計画で運営していたのですが、出会ってから頼り合えるまでに、すごく時間がかかるんです。

中村 :
確かに、そんなにすぐには仲良くはなれないですよね。

甲田さん :
そこで最近は、マンションの住人同士の交流や、自治体と協力し、地方創生の一環で村民同士が頼り合えるような交流を促進する、というような事業も行っています。

中村 :
なるほど。たしかに商業施設で知り合った全く知らない方よりも、同じマンションとか地域の人の方が、親しみが持ちやすいですよね。

甲田さん :
はい。創業してから今までの10年間を「AsMamaの理念に共感した子育て中の親同士が頼り合える仕組みづくり」という第1フェーズとすると、次の第2フェーズは、「高齢者や男性や学生さん、まだ子どもいらっしゃらない方も含めて、おすそ分けやお下がり、送迎託児を頼り合える仕組みづくり」をしたいと思っています。
そして、その次の10年は、中高齢者の方々が私たち現役子育て世帯を助けてくれたことで、今度は私たちが中高齢者の方々を支援・サポートできる社会をつくることが、目標ですね。

中村 :
これから超高齢化社会に突入する日本にとっては、女性が働きやすい社会を作るのと同じく、高齢者の方が暮らしやすい社会を作るのも、とても重要な課題ですね。

甲田さん :
そうですね。また、アメリカは保育料がとても高くて子どもを預けられない人が多いし、アジアでも安心して子どもを預けられる安価なシッターが少ないのが現状で、このご近所同士の頼り合い、友達同士の頼り合いの仕組みは、海外からも注目をいただいています。

保険の問題など、いろいろな課題はありますが、日本で生まれたこの「子育てシェア」の仕組みで、世界の課題を解決できるようになったら…そんな素晴らしいことはないので、次の10年、20年で、先ずは日本国内にいる外国人の方には使っていただき、その後にアジアやアメリカへと、世界に広げていきたいと思っています。

中村 :
日本は、少子高齢化をはじめ、社会問題先進国と言われるので、これからはその解決方法も一緒に世界に示していけるといいですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。


インタビューさせていただいた
商品・サービスのご紹介


子育てシェア

おさがりやおすそわけ、貸し借りができる「モノのシェア」、
知り合いだからこそ、安心して頼ることができる「送迎や託児のシェア」
これらのシェアが登録料・手数料無料、万一の事故には保険付で利用できます。

子育てシェア

http://asmama.jp/kosodate-share/


未来づくりインタビューとは


これから子どもたちが生きてく”100年先の未来”のために、美しい地球・より良い社会を残そうと取り組まれている方々の活動内容や、想いをインタビューさせていただく企画です。
皆さまの日々の生活を考えるきっかけになれば幸いです。


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